会社の種類は
会社の種類について
会社の種類は大きく分けて、株式会社と持分会社に分けられる
日本の会社は「株式会社」が圧倒的に多い
現在、日本では、ほとんどの会社が株式会社という形をとっていますが、事業の性格や会社運営の方法によっては、必ずしも株式会社である必要はありません。
具体的には、まず、会社は出資者としての地位を自由に譲渡できるか否かで、「株式会社」と「持分会社」に分けることができます。
株式会社はオーナーと経営が分離している
株式会社の大きな特徴は、会社のオーナー(株主)と会社の経営者(取締役)が分離している点にあります。所有と経営を分離することで、株式会社は、より多くの資本を集めることが可能になります。
上場企業の例を思い浮かべてください。会社は、証券市場でより多くの出資を集めますが、株主は直接経営にはタッチしません。取締役は利益を出して、株主に対し配当などで還元していくことになります。もし、取締役が会社の経営に失敗したら、株主は取締役を変更することが可能です。また、そこに重大な過失がある場合には、取締役の責任を追及することもできます。
みなさんがこれからつくろうとしている小規模な会社も、考え方はいっしょです。小規模な会社では、代表者が株主であり、同時に取締役でもあるという例が一般的ですが、その場合にも、取締役としての立場と株主としての立場で分けて考えます。株主として考えた場合、当然、会社に万が一のことがあっても、出資額以上に責任を問われることはありません(有限責任)。また、取締役として考えた場合も、会社が債務超過になったからといって、取締役が個人の私財をなげうって弁済する必要はありません。ただし、銀行などから借入をして、取締役が連帯保証人になっている場合には、保証人としての責任は果たさなければなりません。
「持分会社」は3つに分けられる
持分会社は、さらに出資者の責任範囲の違いに応じて、合資会社、合名会社、合同会社(LLC)の3つに分類されます。
具体的には、会社が債権者に対して支払いができなくなった場合に、出資者個人が私財を投じて弁済する責任がある(無限責任)か、または出資額以上には、責任を負う必要がない(有限責任)かという点が、大きく異なっています。出資者全員が無限責任社員である会社を「合名会社」といい、全員が有限責任の会社が「合資会社(LLC)」になります。有限責任社員と無限責任社員の両方が存在するのが「合資会社」です。
持分会社は設立手続きが簡単
持分会社は、設立に際して公証人役場で定款を認証する必要がありません。また、法務局に納める登録免許税も安くすみます。これだけでも株式会社より手軽につくることができます。
また、決算公告の義務がない、定款に定めることで自由な会社設計が可能といったメリットがあります。
出資者が家族や親戚にかぎられる場合や、出資者と経営者が同じ場合には、持分会社のうち、社員の責任が有限会社に限定される合同会社をつくって、事業が拡大してきたら、株式会社に組織変更するという方法もいいかもしれませんね。
「有限責任(LLP)」というしくみ
このほか、会社組織ではありませんが、映画製作などのようにプロジェクトの期間が決まっている場合や、中小起業者同士でITや金融などのベンチャー企業を立ち上げる場合、有限責任事業組合(LLP)という形態をとることも可能です。
LLPは組合でありながら、出資者が有限責任であるという大きな特徴を持っています。利益の分配方法などについても、組合員同士で自由に決められるなど、自由な設計が可能です。
また会社ではありませんから、LLPの利益や損失は出資者に直接課税される(パススルー課税)というのも大きな特色のひとつです。
デメリットとしては法人格がないため、株式会社や持分会社に組織変更することはできません。
ポイント事業目的によって、作る会社を決める。一般的には株式会社
最初から事業規模を大きくするような予定がない場合や、事業の形態が代表者の個人的な才能に依存しているような場合、設立が簡単な合同会社をつくったほうがいいこともあります。しかし、将来的に会社の規模を大きくしたいと考えているなら、資金が集めやすく、また組織もしっかりしている株式会社をつくるのが一般的です。