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会社と個人の信用力の違い

会社と個人の社会的信用の違い

1.会社にすると社会的信用がアップする(名称編)

権利能力とは?

 自然人である個人は、生まれながらにしてさまざまな権利能力を持つことができます。たとえば、不動産を取得したり、株式会社の取締役や契約の当事者になったり、申告の主体になることはもちろん、結婚といった行為の当事者となるなど、自然人が主体となる権利義務の範囲には、原則として制限がありません。
 一方会社は、前述したように、定款に記載された目的の範囲以外の行為を行ってはならないなどの制限や、自然人のように、結婚の当事者にはなれないなどの制限があります。

登記簿謄本による裏づけが信憑性を高める

 しかし、一般的に、個人事業よりも会社のほうが、社会的信用が高いといえます。それは、会社の本店所在地や設立年月日・目的・資本金・役員などの重要事項は、その会社の所轄の法務局から登記簿謄本を取り寄せることで、確認することができるからです。
 個人事業の場合にはそうはいきません。個人事業は店舗や事務所の所在地を登記する必要がありませんから、取引先からみた場合、会社に比べると、どうしても安心して取引ができないという側面は否めません。

契約の名義が法人であるということ

 繰り返しになりますが、会社は、法人格を持つことによって、銀行口座を開設したり、事務所や店舗を借りたり、携帯電話の契約をするといった経済行為の主体となることができます。その場合の契約の名義人は、もちろん「会社」ということになります。会社名で契約をする場合、その会社は登記簿謄本を銀行や携帯電話会社に提出して、正式に登記された会社であることを証明しなければなりません。
 したがって、個人事業者が、「株式会社」「合同会社」などの名前を使って口座を開いたり、契約をすることは絶対にできません。取引先に請求書を発行するときも、個人事業者の場合は個人名義の振込口座を記載しなければなりません。

名刺の肩書きが変わる

 個人事業主のときに「デザイナー 石川功」と記載していたところが、会社にすると「代表取締役 石川功」に変わります。カードの申し込みをする場合も、職業欄は「デザイナー」ではなく「会社役員」になります。
 肩書きが変わるだけで、社会的な信用力がアップすることは言うまでもありません。

ポイント個人の名称から会社名にすると対外的信用アップ

 会社にすると、「株式会社」の名称や「.co.jp」のドメインが使えるので、個人事業に比べて社会的な信用が高くなります。

2.社会的信用がアップすると、業績も拡大する(営業面)

上場企業はきちんと与信管理をしている

 与信管理とは、取引先を評価して、相手の会社と取引を続けても大丈夫かどうか、または売掛金の回収に危険な兆候はないか、取引先ごとに管理することをいいます。
 与信管理は、もちろん中小企業でも大事ですが、上場企業の場合には内部統制の観点から、非常に厳密に運用が行われています。
 会社の規模が大きくなって取引先の件数が増えたり、取引先ごとの売掛金の残高が大きくなれば、貸し倒れの危険度が増してきます。特に上場企業の場合には、与信管理がきちんと行われているかどうかについても、監査法人による厳しい監査を受けなければならないこととされています。
上場企業は、個人事業であれば会社組織であれ、取引を開始する際には相手の信用情報を調査し、評価を行うのが一般的です。評価の方法としては次のようなものが考えられます。
①同業他社や、地域の人から情報を集める
②取引先のホームページを調べる
③商業登記簿謄本を取り寄せる
④不動産登記簿謄本を取り寄せる
⑤調査会社に評価を依頼する

個人事業の場合、上場会社との取引が難しい

 上記を見ればわかるように、個人事業の場合、まず商業登記簿謄本がないので、会社に比べてぐっと低い評価になってしまいます。
 現実的には業種にもよりますが、上場企業がいきなり個人事業と取引をすることは、まずあり得ないといってもよいでしょう。上場企業のような大企業とたくさんの取引をするためには、会社組織にすることが最低条件となってきます。
 もし、個人事業者と取引をして、その事業者が行方不明になってしまったり、売掛金が回収できないような事態が発生すると、与信管理責任者が責任をとらなければなりません。また、会社自体の内部統制システムが機能しなかったということになり、上場会社の株価にまで影響を及ぼす可能性すらあり得るのです。

事務所や店舗を借りる場合

 また、事務所や店舗を借りる場合の信用調査でも、会社のほうが社会的信用度は高くなります。
 個人事業であろうと、店舗などを賃借するために建物賃貸借契約書を交わす場合、連帯保証人をたてることから要求されるのが普通です。会社であれば、契約の当事者が会社ですから、代表取締役個人が保証人になることができます。個人事業だと、第三者に保証人を依頼しなければなりません。
 資力のある身内がいれば頼むことができますが、そうでない場合、他人に保証人を頼むのは、かなり難しいといわざるを得ませんね。

ポイント個人より会社の方が、企業との取引しやすく営業拡大が見込める

 上場企業のような大企業と取引する場合には、個人事業主は取引口座を開くことがかなり困難です。また、事務所や店舗を借りる場合も、会社のほうが社会的信用は高いので、借りやすくなります。

3.社会的信用がアップすると、業績も拡大する(インターネット編)

会社の場合、.co.jpは日本国内で登記している証

 会社や個人事業主がインターネット上にホームページを開設したり、メールアドレスを取得する場合、独自のドメインを取得するのが一般的です。
 ドメインとは、インターネット上の住所のようなものですが、会社と個人では使用できるドメインも違ってきます。
 ドメインには、有名な.comや.netのほかに.co.jpという種類があります。実はこの.co.jpは、日本国内で登記をしている株式会社や合同会社など、会社にしか使用が認められていません。.co.jpのドメインを使えるかどうかは、ネット上でビジネスを行う場合に、信用を獲得するための重要なツールのひとつとなっています。

個人事業の場合、オンライン・ショッピングモールの厳しい出店基準

 会社や個人事業がホームページ上で商売したり、「らくてんしじょう」や「ヤフーショッピング」といったオンライン・ショッピングモールに出展して商売をするケースは、今後ますます増えてくるでしょう。
 多くのモールが、個人事業としての出店は認めていますが、「個人」の出店は認めていません。審査書類を提出したからといって、各モールの出店基準に照らしあわせて、必ずしも出店できるとはかぎりません。

個人事業の場合、クレジット会社の加盟審査も、厳しくなっている

 また、インターネットショッピングで注文を受けた場合、カード決済が非常に多く利用されています。インターネットの最大のメリットは利便性ですから、カード利用ができないと消費者の購買行動がそこで止まってしまうおそれがあります。しかし、クレジット会社の加盟店審査も、会社に比べて個人事業に対して厳しいのが実情です。

ポイント個人では、インターネットモール、クレジット等の審査が厳しいため、営業展開に限界がある。

 インターネットショッピングモールに出店するときや、クレジット会社に加盟する場合、会社に比べ、個人事業主に対する審査は厳しくなります。

4.会社にすると、銀行からの融資が受けやすくなる(資金調達面)

最初に融資を受けたくなるのが「開業資金」

 まず第一に融資を受けたくなるタイミングが、開業当初の資金です。
 開業して間もない時期は、なかなか十分な売り上げは見込めませんが、家賃や人件費などの固定経費は開業と同時に支払っていかなければなりません。開業前に、これら固定経費をまかなえるだけの利益が上がっていく期間を見積もって、その間の運転資金を準備しておかなければなりません。

設備・運転資金は借りるタイミングが大切

 また、設備投資にはお金が必要な場合が考えられます。車や大型のサーバーを買う場合はもちろん、事務所を借りるための保証金やフランチャイザーに支払う加盟金なども、設備資金に該当します。
 設備資金を借りる場合には、見積書を金融機関に提出すればよいのですが、注意しなければならないのがタイミングの問題です。融資が実行されるまでには、2~3週間かかりますが、融資の前に支払をすませてしまうと、支払い済みの分については借り入れの対象とすることができません。計画的な準備を心がけることも大事ですね。
 そのほか、人件費率の高い業種の場合、給料の支払いサイトに比べて、一般的に売掛金の回収期間のほうが長くなってしまいますから、その場合には入金までの運転資金が必要となってきます。また、賞与を支払う場合や税金を支払う場合にも、一度に大きなお金を支払わなければなりません。一時的に銀行から融資を受けて、1年以内に返済するといった資金計画も考える必要が出てくるかもしれません。
 いずれにしろ、開業してから潤沢に資金が回るようになるまでは、それなりの時間がかかりますから、その間の運転資金を確保しなくてはいけないということです。

会社の場合、銀行融資を受けるには債務区分が大切

 金融機関は、会社の決算書の2期分を分析して、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の5段階に格付けするように、金融庁から指導されています。これを「債務者区分」といいます。
銀行は、貸出先の会社の格付けを5段階に区分して、その会社への貸付金に対する「貸倒引当金」の掛け率を変えなければなりません。
 貸倒引当金とは、貸付金が将来どのくらい貸倒れそうなのかを金額に換算した、見込み額のことをいいます。貸倒引当金の掛け率は銀行ごとに異なっていて、たとえば正常先だったら、貸付金残高に対して0.2%、破綻先であれば100%の割合を掛けて、貸倒引当金を計算します。
 貸倒引当金の計上額が増加すると、金融機関自身の損益がマイナスになり、決算書の自己資本比率もマイナスになります。よく、会社の財務状況が悪くなると、銀行が手の平を返したように冷たくなった、という話を聞きますね。銀行自身も監査法人の監督を受けて適正な貸倒引当金を計上しなければなりませんから、背に腹は代えられないのかもしれません。
 言葉を代えるなら、会社の場合、業績が安定していて「正常先」に区分されているかぎり、資金調達は容易だということです。大手都市銀行では、この債務者区分を利用して、独自のビジネスローンや私募債など、不動産担保のいらない中小企業向けの商品が多く用意されています。

個人事業の場合、どうしても敷居が高くなる

 しかし個人事業が銀行から融資を受けるのは、容易なことではありません。また、国民金融公庫や信用保証協会の保障付の融資を受けることは可能ですが、その場合でも第三者保証や不動産担保の提供を要求されることが多く、なかなか思うようにはいきません。個人事業は会社に比べて社会的信用という点で、どうしても劣ってしまうからです。

ポイント事業資の金融資等は、会社の方が個人より有利。

 銀行などの金融機関から融資を受ける場合には、社会的信用力のある会社のほうが、絶対有利です。

5.会社にすると第三者からも出資を集めることができる

会社の場合、銀行からの借り入れが「間接金融」

 会社が事業資金を調達する方法は、前項でも述べたとおり、金融機関から融資を受ける方法が最も一般的な方法です。これを、間接金融と呼びます。
 しかし金融機関から借り入れた資金は金銭消費貸借契約書の約定どおりに返済していかなければなりません。もし、返済が滞った場合には、通常、会社は「期限の利益」を失い、借入金の残額をいっぺんに返済しなければならない契約となっています。

会社の場合、利益でまかなう無借金経営が理想

 一方、金融機関などからの融資を一切受けないで、会社が自らもうけた利益を内部に留保(これを「利益剰余金」といいます)していき、この利益剰余金ですべての支払いをまかなっていくという方法もあります。
 これはいわゆる無借金経営といわれるもので、最も健全な財務状態ということができます。
 しかし、金融機関サイドから見た場合、「借入金」の項目がない決算書は「銀行から借りることができない理由のある会社」という見方をされる場合もあります。経営者にとっては、非常に不本意な話ですね。

会社の場合、資本金を直接増やすのが「直接金融」

 資金調達の方法として、ほかにも資本金を直接増やす増資という方法があります。資本金は会社を設立するときの元手ですが、途中でいつでも増資することができます。
 小さな会社の場合には、上場企業のように証券会社を通じて広く一般投資家を募るというわけにはいきませんが、事業主本人はもちろん、従業員や取引先などから追加出資を受けることで、会社の資金を増やすことが可能です。これを、間接金融に対して、「直接金融」といいます。
 たとえば、会社が300万円の増資をしたいと考えた場合、出資の形態としては、金銭を払い込んでもらう場合と、車や債権などの現物で出資してもらう場合とがあります。「金銭出資」の場合には、出資者から実際に現金を会社に振り込んでもらいます。対して「現物出資」とは、現金を振り込む代わりに、たとえば300万円の価値がある個人所有の車を会社に出資することをいいます。車の所有者は個人から会社に移りますが、代わりにその人は300万円の株式を手に入れて、会社の株主になるわけです。
 また、代表者などが会社に300万円を貸していた場合には、この300万円という「貸付金」を現物で出資することも可能です。そうすることで、会社は「借入金」を返す必要がなくなりますが、その代わり300万円に相当する株を代表者に発行します。その分、代表者の持分が増加することになります。もちろん借入金ではなくなるので、今後、会社は利息を支払う必要もなくなります。
 いずれにしても、直接金融により獲得した金銭や車などは、原則として株主などに返還する義務はなく、金銭出資であれ、現物出資であれ、出資をしてもらうことによって会社に税金がかかるという心配もありません。そのため、会社は安心して、出資金の全額を新規事業の投資に回すことができます。

会社の場合、それでは、なぜ株主は出資を行う?

 一般的に株主の権利には大きく、以下の3つがあります。
①議決権
②配当を受ける権利
③会社清算の場合の残余財産の分配を受ける権利
 中小企業は同族経営がほとんどですから、経営にタッチしない少数株主は、配当を受けとることによって出資のメリットを得ることになります。
 もし、出資した会社が株式上場に成功した場合には、当初の出資額より何倍もの金額で売却することが可能となり、多額の「キャピタルゲイン」を得ることもできます。
 また、親が子どもの会社に出資して、株式の評価額を抑えるなどの方法で、相続税対策に利用することもできます。

個人事業に場合、出資ではなく「貸付金」となる

 しかし、個人事業の場合には、そもそも出資という概念が存在しません。
 第三者や親が個人事業者に資金を援助した場合、それは個人事業者への貸付金として扱われます。そのため個人事業者は、いずれはその資金を返済しなければなりません。もし返済しなくてもいいという場合には、個人事業者への贈与とみなされて、多額の贈与税を納めなければならないことになります。贈与税の最高税率は50%ですから、受け取った資金全額を事業資金に回すことができなくなってしまいます。
 ただし、20歳以上の子どもが65歳以上の父母から受け取る財産のうち、2,500万円までならすぐには税金がかからないという制度があります。これが「相続時精算課税」です。本来、親が子どもに現金などを贈与すると贈与税がかかりますが、一定の条件を満たした場合にかぎって、実際に相続が発生するまで課税を待つという制度です。
 個人事業主の場合にはこの制度を利用して、親からの援助を受けるということももちろん可能になります。

ポイント第三者から資金援助を受ける場合は、会社の方が有利

 会社組織の場合、両親や第三者からの資金援助を受ける場合、有利な方法を選択することができますが、個人事業の場合には、そもそも出資という概念がないので、会社にしたほうがメリットが確実にあります。

6.会社にすると、優秀な人材を集めることができる

従業員を雇い入れることの重み

 事業の規模がある程度大きくなってくると、営業マンを増員したり、総務・経理の事務スタッフを雇うことになります。はじめて従業員を採用する場合には、採用基準をどこにおけばよいのか、たった1時間程度の面接で、応募者の能力や適正を判断することができるのかふあんだらけですね。
 いったん従業員を雇うと、原則として事業主はその従業員が気に入らないとか、期待はずれだったからという理由で解雇することはできません。
 これの意味するところがおわかりでしょうか。言葉を変えていうと、従業員を1人雇うということは、その従業員が辞めるまで、ずっと給料を払い続けなければならないということです。

求人をする際に必要な情報

 事業主が求人をする方法としては、以下のような方法があります。
①求人誌やハローワークなどの媒体に会社情報を載せる
②インターネットのサイト上で求職者をスカウトする
③紹介派遣を利用する
④紹介会社に紹介してもらう
 いずれも、会社の規模や特性、賞与の支給基準や昇級などの条件、また社会保険や退職金の有無などを細かく記入して提出することになります。
会社 求職者から見た会社の選び方
 最近では、かつてのような終身雇用制は崩壊しているとはいっても、優秀な人材ほど、より大手の企業に就職したがる傾向にあります。その理由としては、より大きなビジネスを経験したい、有名企業に入ることで周りから評価されたいなどのほか、安定した収入が期待できるといったことが挙げられます。
 大企業と中小企業の生涯賃金の格差は、月々の給与そのものよりも、賞与や退職金の金額によって、生じてくるといわれています。また、福利厚生面の格差もはずせません。

個人事業の場合、求職者から見た不安

 こうして考えると、少数経営の場合、個人事業ではなくせめて会社組織にしておかないと、優秀な人材の確保が難しいと言わざるをえません。
 個人事業は、そもそも社会保険に加入しているケースが少なく、ネットなどの求人情報でほかの求人会社と比べられた場合、それだけで見劣りするのは避けられません。
 また、就業規則の整備がなされていないため、遅くまで残業が続いたり、正規の残業代も支給されないのでは?という不安を抱かせてしまいます。さらに、退職金制度や福利厚生制度も整っているとは言いがたく、独身の場合はまだしも、家族を養っている場合にはなかなか個人事業に就職するのは、二の足を踏んでしまうというのが実情ではないでしょうか。
 そして、会社と比べて何よりも将来的に不安なのが、個人事業主に万が一のことがあった場合、事業が継続できないのではないかという点です。

ポイント人材採用の面からも会社の方が有利

 優秀な人材を採用して事業規模の拡大を図っていくためには、まず、会社組織にすることが必要です。(図138P)

7.会社にすると、助成金がもらいやすくなる

会社の場合、助成金で、給料を補てんする方法

 個人事業が優秀な従業員を集めるのが難しいと前述しましたが、たとえ会社組織にしても、小さな規模の会社の採用活動は大変です。
 大企業が中小企業に比べて勝っている点はいろいろありますが、中小企業としては、せめて月々の給料ぐらいは大企業並みにして、よりよい人材を確保したいところです。
 そういった場合に利用できるのが助成金制度です。助成金とは、国や地方公共団体が、ある一定の要件を満たした事業者に支給するもので、将来返済する必要のないものですから、ぜひ活用していきたいところです。
 助成金にはたくさんの種類がありますが、比較的要件を満たしやすく、人気のある助成金は次の3つです。

  1. 受給資格者創業支援助成金
  2. 中小企業基盤人材補助助成金
  3. 高齢者等共同就業機会創出助成金
個人や会社が対象の受給資格者創業支援助成金

 この助成金は、雇用保険の受給資格者だった人(雇用保険の加入期間が5年以上)が自ら創業し、かつ創業後1年以内に常用の社員を雇い入れ、雇用保険に加入した場合が対象となります。
 受給される金額は、創業後3日源つい内に支払った経費の額の3分の1で、200万円が限度となっています。ここで対象となる経費の種類は、事業を行うために必要な研修会や講習の受講料はもちろん、法人の登記費用や経営コンサルタントなどへの支払い、事務所の賃貸に要した費用や改装費、設備などの購入費、社員募集のために要した広告費などです。
 この助成金は、個人事業でも会社でも対象となりますが、会社を登記するための費用まで対象となってくることを考えると、創業時に1回きりのチャンスですから、会社組織をつくって申請するほうが有利だといえます。

個人や会社が対象の中小企業基盤人材確保助成金

 これは創業時や異業種への進出時に、経営基盤の強化となる社員を雇い入れて、300万円以上の経費を使ったときに、基盤人材1人あたり140万円(最大5人まで)と、一般労働者1人あたり30万円(最大5人まで)が支給される助成金です。これも個人事業、会社組織ともに対象となっていますが、もともと要件の審査が厳しく、個人事業よりも会社のほうが支給審査は通りやすい傾向にあります。

会社が対象の高齢者等共同就業司会創出助成金

 これは、45歳以上の者が3人以上で共同で会社を設立し、さらに45歳以上の者を1人以上雇用し、雇用保険に加入した場合、設立登記後6カ月以内に支払った経費の3分の2(500万円が限度)が給付されるという制度です。この助成金は、そもそも会社の設立創業を対象とするものですから、個人事業者が申請することはできません。

ポイント助成金等の審査は個人よりも会社の方が通りやすい

 助成金は、会社だけでなく個人事業者を対象としたものもたくさんありますが、会社のほうが支給審査も通りやすく、受給できる助成金の種類もたくさんあります。

会社をつくって事業の継続性を図る

1.会社だったら、事業の譲渡がスムーズにできる

親族以外に事業活動を引き継ぐケース

 いったんはじめたビジネスを、途中でやめたり、継続を断念したりする理由はさまざま考えられます。業績がかんばしくない、事業主が病気をしたり亡くなった、事業主の高齢化に伴い後継者への譲渡、独立していく従業員に譲り渡すなどさまざま考えられます。最近では、別の会社に買収されるケースも増えています。
 2004年度の経済産業省の白書によると、中小企業の場合、経営者の親族以外の者が次の代表者となる割合が約4割ということです。つまり、相続以外の理由で事業を譲るケースがかなりの数に上るということです。

会社の場合、だからこそ信用度が大切

 創業者から事業を譲り受けた場合、後継者にとって最も大事な問題は、今までの売上を維持できるかどうかという点です。ここで一番の大きな壁となるのは、創業者1人の信用で取引を継続してきた得意先が急に離れていくという事態です。ここで会社という信用度がもんをいうのです。
 会社の場合、代表者が代わっても、創業者が築いてきた会社の格付けや信用力がそのまま引き継がれます。代表者が新しくなったというだけで、得意先も安心して取引を継続することができます。

個人事業の場合、銀行口座の名義も変わってしまう

 個人事業の場合、屋号を引き継いだとしても、よほどの老舗でないかぎり、屋号事態に信用力があるわけではありませんから、あらためて後継者のその人となりが、取引先の与信調査の対象となります。
 得意先が大企業の場合には、先代が取引を開始するときに信用調査が行われているはずです。個人事業の場合、まったく新規の扱いとして与信調査が行われ、結果として、口座を開くことができずに、現場の担当者レベルでは何の問題がなくても、内部統制の観点から泣く泣く取引を中止せざるを得ないという事態も起きてしまうのです。
 ここで意外とネックになるのが、対外的に取引名義が表面に出る銀行口座です。個人事業者の場合なら、銀行の名義も後継者名義に変更しなければなりませんが、会社だと口座の変更をする必要はありません。
 請求書に記載する銀行口座が変わるか変わらないかというだけで、信用面で大きな違いが生じるのも現実です。ささいなことのようでも、慣れ親しんだものが変わると、大きな代償を生んでしまう危険性もあるのです。

個人事業の場合、許認可事業は再申請が必要になる

 また、国や地方自治体の許認可を受けなければならない業種もあります。
 たとえば、人材派遣業や建設業、産業廃棄物処理業などは、許可を受けてはじめて事業を行うことができる業種になります。しかし、手続きが非常に複雑で、しかも認可が下りるまでにかなりの日数を要します。
 会社の場合には、たとえ代表者が変わっても、認可の要件を満たしているかぎりは、代表者の変更手続きをするだけで事足ります。
 個人事業だと、時間がかかる煩雑な手続きを最初からやり直さなければなりません。しかも必ずしも、認可を受けることができるという保証もありませんから、事業の継続に支障をきたすことも十分に懸念されます。

ポイント事業譲渡をする場合、会社の方が個人よりも事業譲渡がしやすい

 相続だけでなく、売買やM&Aなどで事業を譲渡する場合も、個人事業のままでは事業の継続が難しくなる可能性が高くなります。取引先からしてみれば、新規の個人事業主と取引を開始するのと同じ扱いになります。

2.会社だったら、共同事業も簡単にできる

共同で事業をはじめる場合

 事業をはじめる場合は、1人ではじめるケースがほとんどでしょうが、なかには、仲間同士で独立して、共同で事業を興すケースもあります。たとえば、料理長と支配人の2人でお店をはじめるような場合です。

個人事業に場合、まず賃貸契約が問題になる

 個人事業の場合、お店を借りるのに、2人の連名で借りるというのはとても困難なことです。そうなると、どちらか一方が契約の当事者になり、もう1人が連帯保証人になるというのが一般的なスタイルです。
 厨房設備を注文したり、リース契約をむすんだりするのも、どちらか一方の名前で行わなければなりません。電気やガスの契約も同じです。

個人事業の場合、連名での申告は認められていない

 しかし、最も重要かつやっかいなことは、売上の区分です。料理長と支配人の2人で稼いだお店の売上とはいっても、この売上を単純に2つに色分けして区分することはできません。つまり、税金の申告はどちらか一方の名前でしなくてはいけないということです。気持ちのうえでは、2人で共同でお店を維持しているからといっても、2人の連名で税務申告をすることは認められていません。

会社の場合、株主の権利を活用すればうまくいく

 会社をつくる際、半分ずつ出資をして、50%のシェアを持てば、上記の問題はすべて解消されます。株主の権利は次の3つです。これらの権利をすべて半分ずつ共有すれば、会社に対する権利と義務は半分ずつになります。

  1. 議決権
  2. 配当を受ける権利
  3. 清算したときに財産の分配を受ける権利

 次に役員についてですが、会社法では2人ともが代表権を持つことが可能です。肩書きは代表取締役社長と代表取締役副社長など何でもかまいません。2人ともが同じように会社を代表して、会社の業務を執行することができるのです。すべての重要なことがらについて、2人が合意してはじめて前に進むという形をとることができるわけです。

会社の場合、ケンカしても、ビジネスライクに処理

 また、もろもろの契約についても、契約の当事者は、あくまで会社ですから、どちらか一方が多大な責任を負うということもありません。どちらか一方が保証人となる場合でも、2人で相談して、等分の負担をすることが可能になります。
 そして、もし万が一、不幸にも2人が仲たがいをしたような場合でも、会社ならばお互いの株式を買い取ることによって、ビジネスライクに処理することができます。

ポイント共同事業を始めるなら、個人事業より会社の方が権利の問題等のトラブルが最小限に抑えられる

 

 2人以上の仲間で事業をはじめる場合には、個人事業者だと、権利や責任がどちらか一方にかかってきてしまいます。会社組織にすれば、お互いに応分の権利と義務を分け合うことが可能です。

 

無料相談窓口
TEL:0776-26-3175
受付:平日9時~18時 行政書士中出和男事務所

 

 

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